2020年春から奨学金の制度が見直し!賛否両論ある中で返済中の金融ライターが思ったこと

前回のコラムを執筆中、奨学金制度を大きく変えるほどのニュースが飛び込んできました。
なんと2020年春に奨学金の貸与者全員から、借入れ金額に応じた保証料が徴収されることになります!

 

 

これについてTwitterでは様々な声が上がっています。

 

 

 

 

Twitter上では批判的な意見が多い一方で、このような意見もちらほら。

 

 

現状では、奨学金制度の見直しについては反対の声が多いようです。

 

現在奨学金を返済しながら金融ライターとしてローン商品に関わっているJinとしては見過ごせないこの問題。
上記のような意見も理解できますが、ここでは両方の意見を見たうえで冷静に今回の保証料徴収について見解を述べたいと思います。

 

Jin(キャッシング大全専属ライター)

 

アニメ・ソシャゲが趣味のオタク。金融だけでなく、政治やら経済やらにも関心がある模様。現在半泣きで奨学金を返している20代なのはここだけの話。

 

 

今回の制度変更のポイント

 

これまで
  • 人的保証と機関保証制度の二本柱
  • 学生は保証人を立てるか、保証料を支払って保証機関に保証してもらうか選択できた

 

今後
  • 機関保証制度に一本化されることになり、保証人は不要に
  • 奨学金を借りる学生全員から保証料が徴収されることになる

 

 

奨学金制度の見直しに至った経緯と意図は?

 

日本の奨学金制度は、無利子の第一種奨学金(1943年開始)と、有利子の第二種奨学金(1984年開始)の二つがあり、長い間運営されてきました。(こんなに昔からあったんですね…)

 

また日本学生支援機構は独立行政法人であり、利益を求めない「非営利組織」です。
そのため金利も2019年現在では、変動金利で0.01%、固定金利で0.27%と超低金利!
民間のローンよりも圧倒的に低いというのは前回のコラムでもご紹介しましたね。

 

こうしたことから、延滞などで未返還金が増えると制度の維持が難しくなるんです。

 

近年では、学費の上昇や非正規雇用の増加などを理由に返済が不可能になる方が増え、それにともなって自己破産も増えてきました。
こうして制度の維持が難しくなったことから、見直しが図られることになったのです。

 

これまでの奨学金制度は、保証人を立てる「人的保証」と保証機関に保証料を支払う「機関保証」の二つでしたが、制度が見直されると「機関保証」に一本化されます。

 

人的保証の利用率は全体の半数を占めていましたが、返還金の回収率が悪いことも今回の見直しの要因であることは間違いありません。

 

奨学金にからむ自己破産は16年度までの5年間で延べ1万5,338人。

内訳は本人が8,108人(うち保証機関分が475人)で、連帯保証人と保証人が計7,230人だった。

 

奨学金破産、過去5年で延べ1万5千人 親子連鎖広がる

朝日新聞2018/2/12より引用

 

Jinとしてもこの制度の変更はやむを得ないと考えています。
日本学生支援機構も、突然「もう貸せません」と言って奨学金の貸与を止めるわけにはいきません。(学生さんも困ってしまいますよね)
そうならないようにするために、前もって制度の安定を図ろうというのが今回の話。

 

これまで奨学金の返済について様々なニュース、問題が取り上げられてきました。
今回の件ではっきりしたのが、長年制度を運用してきた中で遂に、「制度の見直しを迫られるほどに奨学金制度の維持が危うくなっている」ということでしょう。
これを知って貸す側、借りる側がどう考え、どう行動に移すかが今後問われることになります。

 

制度変更によるメリット

 

奨学金制度の見直しのニュースが報じられると、ネット上では先に挙げたように「学生の負担が増える」、「奨学金という制度自体を見直すべき」という声が相次ぎました。

 

批判の声が多いこの問題ですが、Jinが気になるのは奨学金を借りる側にメリットがあるの?という点です。

 

Jinもほんの数年前までは学生だったので、当初このニュースを見た際には、とても驚きました。

 

しかし同時にこの制度の見直しによって、明確なメリットがあることも忘れてはいけないと思ったのです。

 

結論から言えば、制度変更で考えられるメリットは以下の三つです。

  1. 返済が不可能になったときに、親子での自己破産の連鎖がなくなる
  2. 保証人の支払い金額をめぐるトラブルが起きなくなる
  3. 奨学金制度の安定が図られる

1.親子での自己破産の連鎖がなくなる

 

親子での自己破産の連鎖について、2018年に朝日新聞でこのような記事が取り上げられました。

 

国の奨学金を返せず自己破産するケースが、借りた本人だけでなく親族にも広がっている。過去5年間の自己破産は延べ1万5千人で、半分近くが親や親戚ら保証人だった。

 

奨学金破産、過去5年で延べ1万5千人 親子連鎖広がる

朝日新聞2018/2/12より引用

 

先にもお話したように、制度変更後は保証人が不要になります。
現在の奨学金の人的保証では、親が連帯保証人になっていることが多いでしょう。

 

万が一本人と親が返済不可能になった場合は、本人・連帯保証人とも自己破産をせざるを得なくなっていたのがこれまでの状況でした。

 

今後はこのような事態が起きなくなることを考えれば、上記のように保証人となったことで苦しい状況に陥ることもなくなります。

 

2.保証人の返還する金額をめぐるトラブルが起きなくなる

 

同じ年にはこのようなニュースも話題になりました。

 

国の奨学金を借りた本人と連帯保証人の親が返せない場合に、保証人の親族らは未返還額の半分しか支払い義務がないのに、日本学生支援機構がその旨を伝えないまま、全額を請求していることがわかった。

 

奨学金、保証人の義務「半額」なのに…説明せず全額請求

朝日新聞2018/11/1より引用

 

保証人制度については、機関保証制度のように保証料を支払わなくてよいというのが最大のメリットでしょう。
しかし自己破産の連鎖の件からお分かりのように、本人が返済できない場合に保証人が代わりに返済する義務を負っています。

 

日本学生支援機構にどのような意図があるかは定かではありませんが、保証人に法律・金融の知識がない限り、そのまま全額請求されてしまうことが批判を集めました。

 

前回のコラムでもこれらのニュースは取り上げていましたが、奨学金の制度が見直されれば、返済に関して困難な状況に陥ってしまうことはありません。
デメリットばかりが話題になっていましたが、こうしたメリットもあるんですね。

 

一方で普通に奨学金を返済できる方にとっては、保証料を徴収されるだけでメリットはないということに…。
それでも、こうした問題が今後起きなくなるという意味ではやはりメリットと言えます。

 

3.奨学金制度が維持される

 

機関保証では、万一奨学金を借りている方が返済不能におちいった時、その方に代わって日本学生支援機構に返還残額の支払いを行うんです。

 

その後保証機関は、返済ができなくなった方に一括で返還残額の請求を行うことになっています。

 

これを代位弁済というんですが、詳しいことはまたどこかで…。

 

ともかく保証機関から返還残額を返済されるため、返還金は日本学生支援機構に返ってくることになるんです。

 

これはつまり奨学金制度が維持されることを意味します。

 

ただ長期延滞・自己破産などで未返還金が増加した場合に、保証機関がどこまで持ちこたえられるかが課題ですが…。

 

制度変更によるデメリット

 

そしてJinが最も気になるのは、今回の制度の見直しによるデメリットです。

  1. 学生の負担が増える
  2. 延滞・自己破産が増えてしまう可能性(保証料の値上げ)

利用者全員が、毎月支給される奨学金から天引きされることになり、負担が増えることになるんです。

 

1.学生全員が保証料を支払うことになり、負担も増える

 

保証料は借入金額に応じて徴収

奨学金を借りる学生全員から徴収される保証料。
これは毎月支給される奨学金から天引きされることになっています。

 

一体いくら徴収されるのか、そしてそれをどのように調べればよいのでしょうか。
既に機関保証制度を利用される方はご存知かと思われますが、以下の二つの方法で知ることができます。

  1. 日本学生支援機構のHPにある資料から確認
  2. 同サイトにある貸与・返還のシミュレーションから確認

上記の方法で確認してみると、Jinの場合、第二種奨学金で480万円を借り、毎月10万円が支給されていたので、月5,400円ほどが天引きされることに…。

 

毎月の生活費や教材費、交際費など学生の時に必要になる費用はさまざま。
生活が苦しい学生の方にとっては、数千円の減額でも影響は大きいですよね。

 

Jinも教科書を買う必要のある講義は中古のもので済ませたり、そもそも選択しないようにしていました。(数が多いとその分出費も痛いので。)

 

さらに4年間で天引きされる金額の合計を計算すると、5,400円×12ヶ月×4=26万円となりました。
26万円て…(´;ω;`)

 

仮に4年間の保証料を金利換算した場合、返済期間20年間で金利は0.4%ほどになります。

 

現在の金利では変動金利は0.01%、固定金利は0.27%となっていましたが、制度が見直されれば変動金利の場合だと40倍に上昇します。

 

Jinは第二種奨学金を変動金利で480万円借りたので、現状総返済額は480万4000円ほどになります。
制度が見直しされた場合だと、総返済額は506万円ほどですが、自分の場合それでも返済に困るほどの金額ではないと思っています。

 

民間のローン(銀行含む)と比べるとそれでも破格の低金利ですし・・・

 

ただ返済金額は借入れ額や金利、返済期間で異なりますので、事前に確認するようにしましょうね。

 

2.延滞・自己破産が増えてしまう可能性(保証料の値上げ)

 

また制度の見直しによって保証人が不要になることで、延滞・自己破産がさらに増えるとの見方も出ています。

 

「自己破産しても親に迷惑がかからないんだ…」

 

このようにして長期延滞・自己破産が増えていくと、保証料がさらに引き上げられ、いっそう学生の負担が増える可能性が出てくることに…。

 

ただ一概にそう断言することはできません。

 

現在の奨学金の利用者数はおよそ130万人となっています。

 

人的保証制度 機関保証制度
全体に占める割合 55% 45%
全体に占める人数 71.5万人 58.5万人

(大学・短期大学・専門学校含む)

 

上記表から分かる通り、親などに保証人になってもらう人的保証制度を利用している方
が多いんですね。

 

人的保証を選択する主な理由としては、保証人さえ立てられれば保証料を支払わなくて済むということが要因の一つとして挙げられます。

 

Jinもそれを考えて保証人制度を選択しましたが、万一返せなくなってしまったときには、連帯保証人である親に迷惑をかけてしまうことになります。

 

一方で、破産しても親を巻き込まない「保証機関制度」ではとくに保証人に迷惑をかけることはありません。

 

「あれ?これむしろ自己破産が増えてしまうのでは?」

 

気になったので、朝日新聞の記事にあった調査結果から、人的保証と機関保証を利用した際の、自己破産を行った方の比率を表にしたところ、このような結果に。

 

人的保証制度利用者 機関保証制度利用者
自己破産人数 14,863人 475人
自己破産比率 96.9% 3%

 

先ほどの2018年の朝日新聞の記事によると、自己破産をした方のうち、機関保証制度を利用した方の割合は全体の3%でした。

 

機関保証制度の利用者のほうが、自己破産をする方が少ない…。

 

この点に関してJinは、機関保証への一本化で自己破産件数を減らすには有効な対策じゃないかと感じています。

 

批判的な意見が多いですが、このようなデータから考えると、日本学生支援機構は現状の延滞・自己破産問題を改善するために必要な手立てを施したと評価しても良いのではないでしょうか。
とはいえ、「それで返済をしなくて済むなら」と自己破産を選択する方がいるのも事実。

 

もちろんあくまでこれまでの現状から推測しただけなので、今後機関保証に一本化されたことで延滞や自己破産が増える可能性も考えられます。

 

いずれにしろ学生にとっても、日本学生支援機構についてもデメリットしかないという事態だけは避けたいところです。

 

 

制度の見直しと同時期に給付型奨学金制度が拡充!大学の授業料の減免も予定!

 

奨学金制度の見直しが始まる20年春と時を同じくして、政府の高等教育制度への支援の拡充も図られることになりました!

 

 

政府の支援策としては主に

  • 「給付型奨学金の給付額と枠の増加」
  • 「大学・短期大学・高等教育の授業料の減免」

の二つがあり、財源は消費税10%への引き上げによる増収分が使われます。

 

これまで暗い話ばかりでしたが、ついに嬉しい話題が…(´;ω;`)

 

給付型奨学金の支給額がアップ!ただし…

 

まず給付型の奨学金は最大年91万円までに拡大されることになりました。

 

以下の表はこれまでと制度変更後の比較です。

 

これまでの給付型奨学金(年上限額)
自宅通学 自宅外通学
私立の大学・短大・専門学校 36万円 48万円
国公立の大学・短大・専門学校 24万円 36万円

 

2020年春以降
自宅通学 自宅外通学
私立の大学・短大・専門学校 46万円 80万円
国公立の大学・短大・専門学校 35万円 91万円

 

これは年額なので、実際には毎月数万円が支給されることになります。
ただ、本当に苦しい家庭の方のための制度なので、申込資格と審査基準は相応に厳しいものとなっています。
申込み資格が住民税非課税世帯の方や、生活保護を受けている方などに限られているため、とにかく厳しい…。
また審査基準はそれらに加え、高い成績を収めていることが重要になります。

 

毎年申請を行う必要がありますが、それに通れば引き続き受給されるので、負担は大幅に減ることになるんですね。
奨学金を借りている学生全員から保証料を徴収することになる一方で、本当に困窮している家庭にたいしてこういった支援が拡大されるのは嬉しい限り。
今後さらに支給金額や枠の増加の流れが来ることに期待しましょう。

 

入学金と学費の減免もスタート!

 

同時に入学金や授業料についても支援が拡充されることになっています。
こちらについても給付型と同じように所得制限がありますが、条件を満たせば負担がグッと楽になるんです。

 

授業料の減免額
国公立 私立
大学 54万円 70万円
短期大学 39万円 62万円
専門学校 17万円 59万円

 

制度の見直しにより機関保証に統一された後でも、条件さえ満たせば給付型奨学金、授業料の減免で十分にカバーできるようになりますね。
国立大学は年間の平均授業料が54万円なので、相当する額が免除されることになります。

 

入学金の減免額
私立 国公立
大学 26万円 28万円
短期大学 25万円 17万円
専門学校 16万円 7万円

 

Jinが評価しているのは入学金についての支援策です。
奨学金についてはあくまで入学後の学費や生活費などをカバーするものであり、奨学金を入学金に充てることはできませんでした。

 

このため、入学金を用意できない場合、国の教育ローンを利用したり、そもそも進学をあきらめざるをえなかったりする方が多かったんです。
今回上記表のように、ある程度入学金が減免されることになっています。
入学金が払えず進学を諦めていた方も、2020年春の制度の見直しによって、進学という道を選べるようになるかもしれません。
いずれは、国の教育ローンなど、奨学金とは別の借入を利用しなくてもいい時が来るかもと淡い期待を抱いているJinなのでした。

 

 

最後に

 

今回のニュースで報じられた奨学金制度の見直し。
結論からいえば、Jinは「仕方がないこと」だと思います。
制度の維持を図るためには、奨学金の延滞と自己破産、それによる未返還金の増加を少しでも減らさなければいけません。

 

批判の声が出るのも織り込んで、「全員から保証料を取る」という方針を固めたのも、それほどの必要性があったからでしょう。

 

Jinとしては、金融ライターとして奨学金の金利の低さを評価しています。
一方で現在奨学金を返している身としては、やはり良い気持ちはしないというのが正直なところ…。

 

本当なら保証料を支払わなくて済んだのに…。
人的保証を選択した(選ぶことができた)自分であれば余計そう思ってしまいます。

 

一方で今回紹介したように長年問題になっていた自己破産の連鎖の問題がなくなるのも事実です。

 

制度見直しの一番のポイントは「学生本人が返済するものである」という責任がより重くなったことだと思います。

 

保証人を立てることができない以上、一人ひとりが責任と自覚を持って返済をしていくことがこれまで以上に大切になります。

奨学金の返済を表すとき、「済」ではなく「還」を使う意味について

 

返して済ませるのではなく、返したものが次の世代にめぐっていくという意味が込められています。
実際に返還後のお金は後輩たちへの貸与金としてリレーされていくのです。

こういったことも考えると、返済をしっかりすることは自分だけでなく次に借りたい方のためのものでもあると責任感も持てるのではないでしょうか。

 

今回のニュースをきっかけに改めて、

  • 誰かが返還した奨学金で自分が大学に通えたという事実
  • そして自分が返還した奨学金も、次の世代への助けになる

ということを忘れずに、今後もしっかりと返済を行っていこうと決意しました。

 

 

Jin(キャッシング大全専属ライター)

 

アニメ・ソシャゲが趣味のオタク。金融だけでなく、政治やら経済やらにも関心がある模様。現在半泣きで奨学金を返している20代なのはここだけの話。

 

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