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【地銀再編】三重・第三銀行が経営統合交渉開始!加速する県内同士の再編

 

目次

  1. 経営統合の背景には何があったのか?三重・第三銀行が経営統合交渉開始!
  2. オーバーバンキング?過当競争?地銀再編の背景には何がある?
  3. 地銀再編が加速!?大きかったマイナス金利の影響とは?
  4. 地方銀行の役割とは?地銀再編が及ぼす変化とは?
  5. まとめ~地方銀行が消える!?将来の地方銀行の姿とは?~

 

経営統合の背景には何があったのか?三重・第三銀行が経営統合交渉開始!

近年、地域の金融市場をその発展と共に根底から支え続けてきた地方銀行が、全国各地で再編という大きな動きを見せています。
バブル経済崩壊以降、全国、特に都市部の銀行を中心に増大した不良債権によって、経営を圧迫されるという事態が長く続きました。
また、一方、地方では、高齢化の流れに追い打ちをかけるように、若年層が都市部へ流出することによって人口が減少するという過疎化と人口減少、極点社会についての問題が深刻化していったのです。

 

各地で行政が対策に乗り出す中、古くから地域に密着し、地域産業や個人の事業、そして生活を支えてきた地方銀行も存続の危機に、そして、対策に乗り出さなければならない状態に追い込まれてきたのです。
そのような中で、地方銀行再編の動きに、さらに拍車をかけたのは、マイナス金利政策導入であったことに間違いはないでしょう。
これまでにも日本三大地銀と言われる横浜銀行(神奈川県)、静岡銀行(静岡県)、千葉銀行(千葉県)、さらに、常陽銀行(茨城県)、福岡銀行(福岡県)などの大手有名地銀、その他、北は北海道から、都市部ほどバブル経済崩壊の打撃がなかったと言われる九州地区まで各地からの再編のニュースは後を絶ちません。
総資産額が10兆円を超える大手地銀の相次ぐ統合のニュースは、大きな反響を呼びましたが、地銀Aが地銀Bに触手を伸ばしているといった水面下での動きについての話題も変わらず続いている状況です。

 

このように地方銀行は、この数年の間に統合交渉、業務や資本の提携、グループ化などニュースでも大きく取り上げられるようになりました。
さらに、この地銀再編の動きの中で、最も記憶に新しいのが、「三重銀行、第三銀行が経営統合に向けて交渉を開始した」というニュースでしょう。
上記2行の本店は、四日市市、松坂市と日本の三大工業地帯と言われる中京工業地帯が広がる三重県内に位置します。
石油や機械工業など産業が発達する潤沢な土地柄で、人口減少や経営不振といった言葉とは無縁に思えるこの2行が経営統合交渉に至ったのには、どのような背景があったのでしょうか。

 

まず、工業地帯が広がる三重県には、古くからの優良な取引先が数多く存在するはずです。
しかし、古くからの企業が多いことによって得意先の変更がないことや同一圏内における銀行過密が、新たな企業への開拓を難しくさせ、これ以上の伸び率を期待することが困難であることも予測のうちにあるのです。
また、人口の推移予測に目を向けてみると、現段階においては、なだらか下降線をたどる県内北中部地域は、今後、さらに人口減少が進むと予測されています。
さらに、県内南部の人口数について、1955年の人口数444000人のピーク時と現在を比較してみると、その人口は50%以下にまで減少し、今後、さらに下降線をたどると予測されています。

 

三重県内でも、この南部地域は、人口減少と過疎化、それに伴う地域経済縮小が深刻化している地域なのです。
ですから、近い将来、この人口減少は、地方銀行の経営にも大きな打撃になると考えられているのです。
通常、一県に3行あれば既にオーバーバンキングだと言われる中で、三重県内には、三重銀行、百五銀行、そして、第二地銀である第三銀行を含めると、3行の地方銀行があり、この他にも、信用金庫や信用組合、そして、大手銀行が存在する市場激化地域と言っても過言ではありません。
これに人口減少を加味すると、同地区内での競争が、さらに激化すると考えられたのも一つの要因でしょう。
この上記2行が経営統合することで、同県内に残される地方銀行は、現在、県内の金融市場トップの百五銀行1行となるわけですが、人口減少が予想される同県内で、三重銀行と第三銀行の統合後、百五銀行と同一県内2行がどのように経営を行っていくのか、それぞれが県外へ活路を求めて統合に乗り出すのか、今後の再編策と事業展開は、注目すべきところでしょう。

 

これまでの地銀再編のかたちの中で多く見られたのが、同一圏内で営業を行う銀行同士の統合や合併で、県外、さらには海外をも視野に入れた展開が、流れの中にありました。
しかし、その流れがここへ来てまた、県外から県内同士への統合へと方向性が戻りつつあります。
全国各地の地方銀行が、競合他社とお互いに再編に向けて、その方向性やあり方について話し合い、折り合いをつけていかなければならないのですから、それは大変な労力です。
しかし、各地方銀行は、将来を見据え、経営不振からの脱却を地銀再編に賭け、そのあり方やかたちを模索しているのです。
これまでも地銀同士の提携、再編のかたちにはさまざまなものがありました。
互いに独立したままの状態で、他社のノウハウを自社の経営に生かし、協同しながら向上を目指す「業務提携」、それよりも強い結びつきのためにお互いに持ち株を保有し合う「資本提携」、互いの銀行が共同で別の銀行を作り、それぞれがその傘下に入る「経営統合」、そして、「親銀行の子会社化」や経営難による「事業譲渡」、これまでの銀行とは全く別の新しい一つの銀行を発足させる「合併」など再編に乗り出したそれぞれの銀行が苦渋の決断をしているのです。
また、持ち株会社設立によって広域で再編を進めるグループ化やそれらに加え最近では、互いの在り方を尊重しながら同盟を組む「包括的な提携」という新しい提携のかたちまで、各地方銀行が、再編の在り方にさまざまな展開を見せています。

 

しかし、再編のかたちや取り組みは違えども、経営基盤の強化に重点を置きながら、経営経営不振からの脱却を試み、相互に補い合いながら事業効率を高め、利益を上げたいという目的は、どれも同じものです。
マイナス金利政策が長期化することを見据えた上で、地域地盤の見直しから、今後また、地銀再編がどのような展開を見せるのか、以下では、地銀再編の背景から、地域における地方銀行の役割、そして、将来的に地方銀行の在り方はどのように変化していくのかを見ていきたいと思います。

 

オーバーバンキング?過当競争?地銀再編の背景には何がある?

ここでは、地銀再編の裏には何があったのかを知るために、平成以降の金融市場の移り変わりと社会の変化などの地銀再編を推し進めた外部的に要因について触れていきたいと思います。
まず、地銀再編の動きを推し進めてきた要因は、大きく2つに分けることができます。
第一の要因は、日本の金融市場の動向、もう一つは、少子高齢化、過疎化、高齢化といった人口問題などの社会における外部的要因です。
それでは、先に平成以降の日本の金融市場に何があったのか、その移り変わりと共に、地銀再編について見ていきたいと思います。
日本の金融市場は、平成以降の数十年で大きく変化し、国や行政、金融機関や企業にとどまらず、個人の生活にまで大変な影響を与えています。
特にバブル経済崩壊後の日本は、景気縮小や金融ビッグバンなど紆余曲折を見せながら、近年では、マイナス金利の導入など金融市場に大きな打撃を与えてきました。
また、バブル崩壊後の金融機関に焦点を当ててみると、企業の相次ぐ倒産による不良債権の増加は、多くの金融機関の経営を圧迫し、存続さえをも危ぶむ苦しい状況が続いてきました。

 

一方、貸したお金を返してもらうことができない上に、世界的な金融動向に揺らぎを見せた銀行内部では、海外からの撤退によって海外支店数が激減し、経費削減のためのリストラを余儀なくされるなど、バブル崩壊から、リーマン・ショック以降の銀行は、その体質やビジネスモデルなど、根底から事態を変革させなければならない苦境の時期に入っていったのです。
銀行破たんや譲渡、大手銀行同士の合併などのニュースが、相次いで大きく取り上げられるようになったのも、この時期からです。
さらに、2000年以降、インターネットの普及に伴い相次いで金融業界に参入してきたインターネット専業銀行によって、地銀の経営は、増々、変革の波にさらされることになったのです。
金融手続きを行う窓口が3時に閉じる地銀に比べ、ネット銀行は、いつでもどこでも手続きができる利便性の良いものでした。(ここ)
さらに、ネット上で手続きを済ませることができるネット銀行に対し、土地、建物等の維持費、人件費などがかかる実店舗を構える地銀は、「手数料」についても、大きく差をつけられたと言っても過言ではないでしょう。

 

また、このような金融市場の流れの中で、さらに追い打ちをかけたのが、最近、大きな話題となった「マイナス金利政策」の導入です。
このマイナス金利政策の導入によって、金融機関への変革の要求は一層厳しさを増し、譲渡や合併といった事態は、増々、その速度を上げています。
このような中で、特に貯金と貸出を中核に据えた伝統的な経営とその体質の見直しを突き付けられているのが、地方銀行です。
銀行というと、とかく広告が目立つ都市部の大きな銀行ばかりに目を向けがちですが、全国の銀行数を見てみると、その約7割を地方銀行と第二地方銀行が占めているのです。

 

さらに、詳しくは、後で説明していきますが、この銀行数は、銀行の収益という点から見ても、少子高齢化などによる人口減少といった日本社会の現状から見ても実は、多すぎると言えるのです。
ひとつの地域に幾つもの銀行があれば、銀行の収益が分散されることは当然です。
ですから、上記のような社会的要因からも伝統的な経営方針を貫いてきた地方銀行は変革の時期にあったわけですが、本格的に、その再編の動きを強めたのが、2014年の金融庁の通達だったと言えるのではないでしょうか。
この金融庁からのお達しは、いわゆる「森ペーパー」と呼ばれるものですが、各地方銀行の頭取陣にその将来性や収益構造について、また、経営統合などの具体的な経営課題の提示を促す資料を渡したというものです。

 

これによって、地銀再編に拍車がかかったのは、地銀の合併交渉のデータ件数を見ても明らかですが、地域に密着して、地元の人々の暮らしを支えてきた地方銀行合併の話題は、多くの人々にとって、直接的に個人の暮らしに関わる大きなニュースだったのではないでしょうか。
現に金融庁のお達しと同年の2014年には、横浜銀行と東日本銀行、翌年には、肥後銀行と鹿児島銀行などの経営統合交渉があり、それ以降、現在まで、全国的な規模で各地方銀行から合併交渉のニュースが届くようになりました。
それらに加え、全国に支店を持つゆうちょ銀行が2016年から預け入れ限度額を引き上げたことも地方銀行の存続を脅かす一因となったとも言えるでしょう。
さらに、同年に導入された「マイナス金利政策」によって、地方銀行は今後の収益悪化を懸念し、経営不振からの脱却と生存競争のための再編スピードを加速させたことは間違いありません。

 

上記のように、地方銀行を取り巻く金融市場の動きは、地方銀行の経営を圧迫し、再編の動きを強めました。
県内同士の合併にとどまらず、近隣県同士の合併、県をまたいでの全国的な規模での統合交渉など、現在まで、地方銀行が、経営不振からの脱却と生き残りをかけて、地銀再編に起死回生のさまざまなかたちを見せています。
一方で、上記のような金融市場の移り変わりとともに、社会における外部的要因も伴い、さらに地方銀行再編の動きを強めてきました。
後に詳しく見ていきますが、地方銀行は、地域社会とその活性化を共に目指し、地域に貢献できる取り組みとして融資などの地域密着型金融を中心に行ってきました、
しかし、この事業システムを大きく揺るがすことになったのが、少子化や高齢化による過疎化、極点社会現象と言われる人口移動による地方における人口減少でした。
大学が密集する都市部への18歳人口の流出、そして、労働力の中心となる生産年齢人口が大学卒業後そのまま都市部へ定着することも少子化や高齢化問題、地方活性化を妨げる大きな要因なのです。

 

また、この人口減少は、地方の一部地域に見られるわけではありません。
数年前に日本の総人口が1920年の国税調査依頼、初めて減少したのは、記憶に新しいところです。
さらに、これらの調査からも分かるように、この人口減少は、全国的に、今後ますます顕著になり、数十年後には、地方自治体の存在さえ危ぶまれるといった試算も出ているほどなのです。
このような現状から、地方銀行も変革を余儀なくされたと言って間違いないでしょう。
上でも説明したように、地方銀行の収益は、貯金と貸し出しによるところが大きかったわけですが、全国的規模で進むこの人口減少は、地域に密着して経営を行ってきた銀行にとって大変な打撃になったのです。

 

簡単に言えば、人口が減れば、お金を預ける人も借りる人も減るわけですし、お金を貸し出す先の企業が消えていけば、銀行は収益を得るすべを無くすわけですから、人口減少は、ダイレクトに経営に響き、ひとつの地方銀行のみならず、同一圏内に過密する銀行全体にその影響が波及することは予測の通りです。
さらに、生産年齢層の都市部への流出による地銀の痛手は、子供世代の「相続」にも見られます。
具体的には、親世代が地方銀行に残した資産を子供世代が、相続の際に生活の拠点とする都市部の銀行に預けることになるからです。
このことは、高齢者人口が占める割合が高い、地方の銀行にとっては、大きな痛手となることは間違いありません。
また、この人口減少に関して、もう一点押さえておきたいことが、人口減少とオーバーバンキングとの関係です。
このオーバーバンキングによる地方銀行間の過当競争も地方銀行再編に乗り出した要因の一つです。
上記でもふれたように日本の地方銀行数は、47都道府県に105行。
この数は、大手を含め全体の銀行数の約7割を地方銀行が占めている状態です。
その数から単純に平均値を計算しても分かるように、同一県が、複数の地方銀行を抱えていることはざらで、さらに店舗数と人口数との割合を見ていくと、銀行1行に対して利用する側の人口が少なすぎるという現象が起きていくのです。

 

人口に対して、多すぎる銀行数。
一部では、人口減少とオーバーバンキングが必ずしも経営不振と直結しているとは言えないという意見も出てはいますが、顧客が減り、将来的にも顧客増加や収入の見込みがないという状態では、その経営は、衰退していくと考えるのが妥当でしょう。
ですから、その打開策として、統合などによって地方銀行の数を減らし、再び経営状態を浮上させるべく見直しをしようということもこの地方銀行再編にはあるのです。
このように、金融庁が地銀再編を推し進めてきた背景には、一連の金融市場の流れとそれらを取り巻く社会現象、それによる地方銀行の行き詰まりや地方経済の衰退予測が大きく関連しているのです。

 

地銀再編が加速!?大きかったマイナス金利の影響とは?

上記にも記した通り、最近の地銀再編をさらに加速させたのは、2016年の「マイナス金利政策」の導入だったと言っていいでしょう。
そして、このマイナス金利導入による地方銀行への影響は大変なもので、この政策によって、収益が悪化すると予測した銀行が、必要に迫られ相次いで再編に乗り出したと言っても過言ではありません。

 

ここで、マイナス金利とは、読んで字のごとく、金利がマイナスになることです。
では、金利がマイナスになるとどのようなことが起こるのか、地方銀行と顧客との関係から見ていきます。
まず、金利がマイナスになるとメリットはあるのでしょうか。
金利がマイナスになることで、メリットを得ることができる人がいるとするなら、それは銀行から融資を受ける側の顧客です。
そして、収益を上げるためにさまざまな策を練り、働かなければならないのが地方銀行という構図になるでしょう。

 

マイナス金利政策は、従来、日本銀行にお金を貯め、何もせずとも一定の利息を得てきた金融機関に、働かずにお金を貯めて利益を得るばかりでなく、自ら顧客を探してお金を貸して、お金を循環させ、それによって利益を得なさいという一つの警告でもあり、社会全体から見れば、景気回復への刺激のようなものでもあったのです。
簡単に言えば、マイナス金利で、地方銀行が日銀にお金を預けなくなれば、社会にお金が出回るようになり、景気が上向きになるという刺激です。
上記のように、これまで地方銀行と日銀の間には、日銀にお金を預けるだけで0.1%の利息を得ることができるという仕組みがありました。
しかし、このマイナス金利政策の導入で、金利はマイナスに転じ、日銀にお金を預けるだけで地方銀行側が逆に、金利分を支払わなければならないという仕組みへと一転したのです。

 

金利が、マイナスの日本銀行にお金を預け続ければ、預けた側の地方銀行のお金は、日に日に下がっていくわけですから、経営状態が悪くなり、預けずに済む方法や対策を練らなければならないという状況、つまり再編に追い込まれたという訳です。
ただ、一方で顧客側に目を向けてみると、金利が、マイナスになったからと言って、銀行が、顧客にマイナス金利でお金を貯蓄させれば、タンス貯金をする人が増え、顧客の銀行離れが始まることは間違いありません。

 

ですから、銀行側は、できるだけ低い金利で、多くの顧客に融資をしたいと思うようになり、顧客側は従来よりも融資を受けやすくなるということも考えられるのです。
上にも説明した通り、地方銀行の収益は、顧客にできるだけ低い金利で貯金をしてもらい、貸し付け時には、それより高い金利で融資を行いその差額を利益にしてきました。
これがよく言われる「利ざや」というものですが、利ざやを増やすためには、その差を大きくするか、もしくは薄利多売戦略に出るかという方法が考えられるでしょう。
しかし、利ざやを増やすために金利を上げれば、顧客が減り、利益を少なくすれば、多くの人に融資しなければならないという状態になるのです。
そのことも加わり、地方銀行の経営が思うように運ばなくなったとも言えるのです。

 

ただ、顧客にとってもメリットばかりではないということを把握しておくことは大切です。
マイナス金利が長期化すればなお、地方銀行も再編ばかりでなく、自行事業の見直しが急務になります。
ですから、例えば、利益を上げるためのATM手数料やその他の手数料の値上げ、マイナスにならずとも、貯金の金利引き下げなどの対策が行われれば、それは、顧客にとってのデメリットとして考えられるでしょう。
このように、マイナス金利政策導入は、各地方銀行の存在を揺るがし、自行の在り方や事業の方向性、新規事業の拡充を含め、根本から変革せねばならない大きな契機となったのです。
大手都市銀行のように投資や証券、海外ファイナンスなどのノウハウや事業展開を持たない地方銀行は、貯金と貸付という伝統的な取り組みによる利ざやに頼らざるを得ない体制が続いてきたために、このマイナス金利が、ダイレクトに経営に響き、再編の動きを強めていったのです。

 

地方銀行の役割とは?地銀再編が及ぼす変化とは?

上記のように、さまざまな背景から再編を余儀なくされ、収益向上という目的に向かって、あらゆる戦略を立てている地方銀行ではありますが、そもそも地方銀行は、都市銀行のように多種多様な業務展開や広域化、メガバンク化を目指してきたわけではないはずです。
地方銀行には、地方銀行の存在意義や存在価値があるのです。
本来あるべき姿を忘れ、新規事業と広域化を目指して、外へ外へと出ていくばかりでは、中核は空洞化するだけです。
また、加速する再編のスピードに中核を置き去りにしてしまったのでは、本末転倒と言えるでしょう。
ここでは、再編熱に煽られることなく、今一度、地方銀行が「地方の銀行」として存在する意義を確認し、その上で、地方銀行に与えられた課題は何なのかを探ってみたいと思います。

 

では、そもそも地方銀行の役割とはどのようなものなのでしょうか?
まず、都市銀行と地方銀行の大きな違いは、都市銀行が日本全国の主要都市をはじめ、海外を含む広域で、主に大手企業を相手に融資などを行う大規模事業展開を見せる一方で、地方銀行は、都道府県の地域を中心に事業を展開し、主に地場産業を支える地域の企業に融資取引を行う銀行だということです。
また、地方銀行の役割は、その「地域の銀行」として地域経済と地域活性化に寄与し、地元の人々の暮らしに根差した地域密着型金融としての事業を展開することにあります。

 

「地域の銀行」がメインバンクとして多くの住民に選択されるためにも、地域の暮らしに直結した事業展開によって、地域からの信頼や親しみやすさといった評価を得るということもとても重要な意味を持つのです。
さらに、地銀の役割を「地域住民(個人)」、「地元企業(地元産業)」、「行政(公共性)」の3つの点から見ていくと、地銀は、地域にとって大きな役割を課せられていることが分かります。
まず、地銀は「地域住民(個人)」の家計を守り、その暮らしを支えるものでなくてはなりません。

 

上記でも取り上げたように、地銀の収益源は、貯金と貸し出しによるものです。
お給料の入金や貯蓄、車や住宅、教育ローンなど地銀は、人々の生活に欠かすことのできないお金を通して密接につながっています。
このように、個々人の小さな暮らしの安全を経済という大きな基盤で支えていくという役割が地銀にはあるのです。
これまで地銀は、進学や就職、結婚や子供の誕生、教育に退職、そして年金の受給など、いつでも身近にあって個人の一生をトータルでサポートするという個人経済のパートナーを担ってきたのです。

 

また、特に人口減少が深刻化する地方において、地域に人々が定住するためには、やはり、「地元企業(地元産業)」の発展は欠かすことのできないものです。
この地元企業を資金繰り、あるいは起業の段階から資金調達等でサポートし、成長企業にコンサルティングできるかという点も地銀に課せられた役割です。
統合や再編による自行の経営基盤強化も重要ではありますが、数年後の展開や将来性を予測し成長企業に不引き上げることができれば、これら一連の取り組みから十分な収益を得ることは可能なはずです。

 

また、上記のような取り組みから、地元企業の育成に努め、若年層の雇用先を確保していくという取り組みも地方銀行にはできるはずなのです。
地域の金融市場を循環させるためには、融資事業は欠かすことのできないものなのです。
さらに、地域の経済を持続的に成長させていくためには、地元産業と地銀、行政との連携が重要になってきます。
行政や地方企業を大きく動かすためには、経済的な支援は必要不可欠です。

 

そのような中でこそ、地域に根差し、行政の動きや地元企業の動向、そして、地域の特徴や社会風土に詳しい地銀がその手腕を見せる時なのです。
国や地方自治体の財政悪化などによって「行政(公共性)」が行き詰まりを見せる中で、地方財政を潤滑させ、地域が活性化するために地元産業とどのように連携し、どのような取り組みができるのかについて、地域財政の視点から、金融のノウハウと知識を生かした意見を出すことができるのは「地方の銀行」である地銀の役割と言えるでしょう。
地銀再編の波は、地方銀行を窮地に追い込んだことは間違いありません。

 

しかし、その一連の動きは、再編へと変革に追い込まれた地銀を疲弊させただけに留まらないのではないでしょうか。
見方を変えれば、統合や合併と言った金融機関の将来的なかたちのみならず、地方銀行の役割とは何か?地方での基盤をどのように確立するべきか?そして、地域経済を活発に動かすために何ができるのか?といった地銀が本来あるべき姿をどのように発展させることができるのかについて本格的に取り組む契機になったのです。

 

まとめ~地方銀行が消える!?将来の地方銀行の姿とは?~

上記のように、地方銀行の再編は進んだとしても、「地方の銀行」として地方経済を担い、それによって地方を活性化させていという役割に変わりはありません。
また、これまで述べてきた通り、地銀を取り巻く状況や背景も、目まぐるしく変化しています。
行政は、都市部に人口が集中し地方が縮小、20年後には、多くの市町村が消滅するのではないかという人口減少と極点社会についての予測を危惧し、早期的な対策に乗り出しています。

 

消滅するのではないかと言われる市町村数が、500とも600以上とも言われるこの深刻な危機に対して、国家を上げて少子化対策や地方移住支援策、地方活性のためのさまざまな取り組みがなされているわけです。
しかし同時に、人口減少の状況下にあっても、地方に残った人々にとっては、生活に最低限必要な地方のコミュニティや公共施設の維持存続についても考えなければならない重要な課題となるでしょう。

 

このような中で、地域と密接にかかわりながら、人々の家計と暮らしを支えてきた地方銀行への役割と期待は大きいに違いありません。
人口減少があり、個人個人の残高が減ることによって、金融機関の存続すら危ぶまれる中で、地方をどのようにして活発にしていくかということは、行政のみならず、地方経済を支える地銀の大きな役割です。

 

数十年後、人口減少の波に飲み込まれ自治体はおろか、地銀までもがその煽りを受けて消えてしまうという最悪の事態を招かないためにも、地銀の地域密着型金融としてのさらなる進化と地域経済発展、地域産業支援への対策は急務と言えるでしょう。
日本における中小企業数は、全体の企業数の大半を占めています。
まさに、日本の産業は、地方の中小企業によって支えられていると言えるのです。
ですから、この中小企業を元気づけ、活躍を後押しできる役割を上手く果たすことができるかが、地銀のみならず、地方行政、地域産業が衰退する地方で生き残ることができるかの一つの鍵となるのです。

 

地方中小企業が潤いを見せ、地域経済が循環し始めれば、地域雇用が上昇し、必然的に生産年齢層は地域に集まることになるでしょう。
人が集まれば、教育、公共施設の拡充、おのずと商業も活発になり、これらが上手く循環できるようになれば、結果的に、銀行に利益が戻る構図ができるのではないでしょうか。

 

このように地銀再編は、経営統合や金融機関同士の連携、エリア拡充によるものばかりではありません。
地域の活性化無くして、地銀が生存競争に勝ち残り、活躍しうる地盤を築くことはできないのです。
上記のように、地方創生を推進し、地域を活性化させるという目的において、地銀は、地域密着型金融として地方経済をリードしていかなければならないのです。
このような状況の中で、地域の行政、教育、産業とさまざまな分野と連携し、地方創生に乗り出す地銀が、増えてきています。

 

地域の中で、事業開拓を考える人に向けたセミナーや支援、大学などの教育機関を巻き込んだ産学官金連携による創業教育、販路拡大を目的としたビジネスマッチング、経営改善支援や海外進出サポートなど全国の各地銀が地場産業の活性化のために尽力すべく取り組みを行っているのです。
さらに、地方創生への取り組みの一環として、全国の地方産業、行政、地銀を巻き込んだ「地方銀行 フードセレクション」は、注目されたイベントの一つです。
また、定住化促進や空き家対策、地元への就活応援イベントや子育て支援、退職者向けのセミナーなど地域で安心して暮らせるまちづくりを目標とした取り組みも全国の地銀で行われているのです。

 

一方、保険など異業種との連携による収益向上の取り組みはもちろんのこと、女性行員再雇用のための人材バンクなど地銀内部の取り組みも活発に行われるようになりました。
このように、地方銀行は、以前の待ちの姿勢を一転させ、自ら働きかけを行い地域の価値向上や地域活性化に注力しています。
マイナス金利の長期化は、まだまだ懸念され、自行の力量を試される地方銀行ではありますが、地方銀行再編によって、地方経済を救い上げることができることができるように社会状況を見据えた新たな地銀の取り組みに期待が高まるところです。

 

 

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