消費者金融業界が、過払い金による業績圧迫の終焉を迎えるのはいつなのか?

この記事の目次

  1. 消費者金融はいつまで苦しめられるのか?過払い金請求はいつまで続く?
  2. 消費者金融を苦しめる過払い金請求はいつ終わるのかは読みづらい
  3. 知っておきたい改正民法と現行法の違い!過払い金請求権の時効が変わる!?
  4. 消費者金融業界の今!過払い金請求件数と利息返還額は?

 

消費者金融はいつまで苦しめられるのか?過払い金請求はいつまで続く?

 

このカテゴリーの冒頭でも触れたとおり、過払い金請求権には時効があります。
そもそも過払い金の請求に関する時効は、民法では、「不当利得返還請求権」として定められ、完済から10年で失効すると決められています。

 

ここでポイントとなるのは、返還請求の時効は借入日から10年ではなく、完済から10年ということです。

 

ですから、消費者金融の業績を圧迫している過払い金請求は、消費者金融の全てが同時期に終焉を迎え解放される日が来るわけではありません。

 

その理由を具体的に説明すると、

 

債務の完済日は、顧客ひとりひとり違う

 

つまり利用者個人個人の借入や返済状況によって、過払い金の時効も変わってくるということになります。

 

一方消費者金融側の状況に視点を移してみると、

 

いつグレーゾーン金利での貸し出しを止め、どの時期から金利引き下げを行ったのかは消費者金融各社によって異なる

 

という各社の取ってきた戦略に依存する理由もあります。

 

またもう一つ、

 

顧客が完済までの返済期間をどのくらいで設定していたか?

 

例えば1年から10年など、期間設定をグラフで表した時にどの期間での返済期間設定の顧客層の割合が高いのかといったことも、消費者金融各社がどのくらいの時期に過払い金返還による返済リスクの問題を解消することができるのかに大きく影響します。

 

ちなみに、アコムプロミスアイフルも2007年には金利引き下げを行っていますが、各社の引き下げ時期や金利は微妙に異なっていて、

 

 

アコム

プロミス

アイフル

変更時期

2007年6月

2007年6月

2007年8月

元金利

27.35%

25.55%

28%

後金利

18%

17.8%

20%

 

それぞれの消費者金融がこのように金利引き下げを決行していったのです。

 

その他の消費者金融でも、2006年の12月にグレーゾーン金利撤廃に関する法が成立すると、2010年の改正貸金業法完全施行を待たずに、次々と金利の引き下げをしていきました。

 

それらの状況から考えると、改正貸金業法施行の2010年よりも早い段階で多くの消費者金融がグレーゾーン金利での貸し付けを終了していることになりますので、この点も過払い金請求による消費者金融の業績圧迫がどのくらい続くのかということを見る時のポイントとなります。

 

なぜならば、まず、どの時期に、(グレーゾーン金利見直し前後など)どの段階で、債務者が、借入を行ったのかによって、過払い金が発生するか否かが違ってきますし、上でも示したように、各社(1年間、3年間、10年間というように)返済期限を定めていますが、グレーゾーン金利を見直し、金利の引き下げの時期が早ければ早いほど、その分、返済期限も早くやってくるからなのです。

 

一方、業界全体の過払い金返還請求からの解放時期ではなく、自分自身に過払い金が発生していないか?またその請求期限を債務者自身が確認したいという場合には、まず完済日をチェックする必要があります。

 

完済日が分かれば、すぐに過払い金の期限を割り出すことが可能だからです。
しかし、請求に際しては、どの消費者金融から、どのくらいの金額を、どのくらいの期間にわたって返済してきたのかということも、必要になりますので、まず、それらに関しても借入先、1件1件、きちんと整理しておく必要があります。

 

参考記事:
ご自身に過払い金があるかを調べたいというニーズがあるなら、友だちの金無和也くんが運営しているサイトをご覧になってください。

金無和也の一問一答~過払い金の疑問編(外部サイト)

 

「過払い金の請求までに、完済から時効まで10年間もあれば、余裕があるだろう?」と思われるかもしれませんが、先にも述べたように個人の借り方や契約の仕方によって借入日からの返済期間や完済日は違ってきます。
まだまだ余裕がある、などと横着せずに、昔返済していた借金があるなぁと身に覚えのある人は、いつまで過払い金返還請求権の行使が可能であるのかを確認しておくことと良いでしょう。

 

過払い金の有無や返還件行使の期日のチェックは、弁護士や司法書士事務所が無料で調べてくれるので利用してみるのも手ですね。

 

 

消費者金融を苦しめる過払い金請求はいつ終わるのかは読みづらい

さて、消費者金融業界全体の経営圧迫の原因となっている過払い金請求がどのくらいで終わるかということについてですが、上に記したような金利引き下げの時期と顧客一人一人の借入期間を考慮した上で予測しなければいけません。

 

まず、先にも触れましたが、遅くともこの期限までには必ず借入金を1円残らず返済しなければならないという最長返済期間は、各消費者金融、また、借入額によっても違いがあります。
住宅ローンなど大きな金額を借りる場合ですと、20年や30年など長く返済期間を設定することができますが、平均的に100万円から200万円前後の借入金を必要とする自動車ローンですと、2年から3年に返済期間を設定する方が多いということを思い浮かべていただくと分かりやすいでしょうか。

 

このように、借入金額が低ければ1年から3年、100万円を超えると、3年から5年、300万円以上なら、10年以内など、消費者金融でも各業者によって、最長返済期間にバラつきが見られますので、そのことを前提に、以下、具体例を用いて、先に挙げた過払い金請求による企業業績圧迫の終焉をどのように考えるかについて、見ていきたいと思います。

 

例えば、過払い金が発生する2000年の5月に借入した借金が70万円あったとします。
これを5年間で、2005年の5月1日に完済した場合、そこから10年後の2015年の5月2日に過払い金の請求期限は終了しているため、2017年の現段階では請求手続きができません。

 

分かりやすくもう一つ例を挙げてみましょう。
2005年の1月に100万円を借入し、5年間で返済をし、2010年の1月に完済した場合、過払い金の請求期限は2020年の1月になりますので、過払い金請求ができるということです。
ただ、まだ2年以上あるからと言って先延ばしにせず、すぐに返還手続きに動きたい事例です。

 

 

また、先に挙げた大手消費者金融を例にとって、金利引き下げを行う少し前の2006年の12月に300万円を10年という長期間で完済したとしましょう。
すると、完済は、2016年の12月になりますので、現行法では2026年の12月まで過払い金請求権があることになります。

 

借入金額によって違いが出てくるものの、それを度外視して各社の最長返済期間をチェックすると、長く見積もって10年間ですので、例えば過払い金が発生しなくなる前、ギリギリの2007年1月の借入金の場合であっても、2017年1月には既に完済しているという計算になるのです。
この計算から予測すれば、既にほとんどの方が過払い金の発生する借入れを完済しているという計算になりますので、2027年には請求権の行使ができなくなると思われます。

 

しかも、上記の計算は、借入日、最長返済期間等、全て最長での計算ですので、割合として考えれば年数が経過するほどに請求権を行使する方の人数も減少すると考えられますので、2007年に金利引き下げを行った大手業者に関して言えば、2027年までには過払い金返還による業績圧迫からは解放されるという計算になります。

 

ただし、これはあくまで「現行法」での話です。
以下「知っておきたい改正民法と現行法の違い!過払い金請求権の時効が変わる!?」として、現行法が変わってしまった場合の説明もさせていただいていますので、まだ過払い金請求をしていないという方は、是非、そちらも参考にしてください。

 

上記の例を基に現在の消費者金融各社の状況を考えるのであれば、今は、仮払い金の請求の峠は越えつつある、あるいは既にピークを越え減少傾向にあるという見方が有力になるでしょう。

 

仮払金の請求手続きに終止符が打たれる時が10年以内に来るのは確実です。
これによって、仮払い金の返済が、圧迫していた各消費者金融の経営も徐々に回復の兆しが見えてくることは間違いありません。

 

 

知っておきたい改正民法と現行法の違い!過払い金請求権の時効が変わる!?

ただし、注意すべきは、民法改正です。
過払い金請求権等に関する法として民法に定められた不当利得返還請求権は、2017年5月26日に参院本会議で可決・成立した民法改正によって、改正施行後は、過払い金の請求期限が、変わってくるからです。

 

現行民法は、1896年(明治29年)に制定、公布され、いくつかの分野においては、改正が行われてきたものの債権や契約に関する分野の民法に関しては、120年以上改正されてこなかったという経緯を持っています。
そのため、「現代の社会や経済状況に対応した内容になっていない」「一般国民にとって分かりにくい内容である」といった理由から数年に及ぶ議論の末、2017年に入り、法制審議会で「民法(債権関係)の改正に関する要綱」が決定され、大きく改正される動きを見せたのです。

 

この改正による主な内容は、賃貸契約の敷金に関するもの、また、購入した商品に関する欠陥品への対応に関わる事項の明確化、企業融資で求められる個人保証を「原則禁止」とすること、未払い金の時効を5年に統一すること、約款ルールの明確化、そして、法定利率を年3%に引き下げた上で変動制を導入することです。

 

ここまで、見てみると、お気づきの方もいらっしゃると思いますが、「未払い金の時効を5年に統一する」という内容は、過払い金請求を予定している側にとっては、大変な改正となっているのです。

 

前述したように、過払い金請求の時効は、完済から10年です。
しかし、改正民法では、債権者が債権を行使することができると知った時から5年と定められるわけですので、現行法よりも5年間も早く時効が成立してしまうという訳です。

 

また、施行日は、3年以内と言われていますので、既に過払い金が発生していることを知っていて、完済を待って、申請をしようとしている、あるいは、過払い金が発生している可能性があるという方は、現在の借金返済状況を詳しく説明できるようメモなどを用意した上で、一度、専門家にご相談されることをおすすめします。

 

 

消費者金融業界の今!過払い金請求件数と利息返還額は?

では、実際に、消費者金融業界は、過払い金返済にどのくらいの金額を投じてきたのでしょうか?

 

日本貸金業界による業界月次統計資料によれば、利息返還額(過払い金請求に充当した金額)は、2017年4月の最新発表で、月約189億円(消費者金融業態・事業者金融業態・クレジット業態の合計金額。利息返還に伴う元本毀損を含む。以下同様)となっています。

 

業界全体で月に189億円も返還しているっていうのがものすごい数字だなと思うんですが、この数字は全盛期に比べれば1/4程度にまで落ち着いているというのですから、それはまた衝撃的だなと思ったりもするわけで。

 

参考までに、前年2016年6月の月約277億円から毎年6月を遡って比較をしていくと、以下のようになります。(以下、全て6月の数字)

 

2015年

約273億円/月

2014年

約285億円/月

2013年

約287億円/月

2012年

約462億円/月

2011年

約734億円/月

2010年

約862億円/月

2009年

約950億円/月

 

このデータを見てみると、2012年を境に消費者金融の過払い金請求に関する負担額が一気に減り、2013年から2016年まで、ほぼ横ばいの数字となっていたことが分かります。
さらに、この数字は、6月期に限らず、どの月をピックアップして比較をしてみても、ほぼ変わりはありません。

 

そして、2017年に入ってからは100億円台にまで下がっていて、さらに月平均100億円に近い金額まで下がっていますので、今後どの程度この数字を維持、または下げることができるかに注目です。
消費者金融側から見れば、今年は出だしから明るい滑り出しとなったことは間違いありません。

 

また、グレーゾーン金利が改正された2006年からの過払い金請求の推移を(利息返還に伴う元本毀損額を含まないデータ)年度毎に見てみると、以下のようになります。

 

2006年

2936億円

2007年

4724億円

2008年

5909億円

2009年

6589億円

2010年

5191億円

2011年

5212億円

2012年

3670億円

2013年

3009億円

 

上記の月ごとのデータと比較しても分かるように、2008年から2009年にかけて過払い金請求の負担額は一気に上昇し、2012年から2013年にかけて、負担額が、グンと下がっていることが分かるでしょう。

 

ピークの2009年では6,500億円以上もの過払い金請求返還が行われていたのです。

 

先の消費者金融を苦しめる過払い金請求はいつ終わるのかは読みづらいでもご説明した通り、消費者金融各社が、金利引き下げを行った時期や各社が定める最長返済期間等から推測しても、過払い金請求件数は減っていくことは間違いないので、今後の見通しは明るいと考えて間違いなさそうです。

 

 

 

 トップページに戻る

 

 

 

【2017年版】消費者金融各社の懐事情カテゴリ記事一覧

消費者金融業界が、過払い金による業績圧迫の終焉を迎えるのはいつなのか?

この記事の目次消費者金融はいつまで苦しめられるのか?過払い金請求はいつまで続く?消費者金融を苦しめる過払い金請求はいつ終わるのかは読みづらい知っておきたい改正民法と現行法の違い!過払い金請求権の時効が変わる!?消費者金融業界の今!過払い金請求件数と利息返還額は?消費者金融はいつまで苦しめられるのか?...

» 続きを読む

合併? 倒産? 傘下に入る? 消費者金融業界、縮小の要因とは?

前回の記事では消費者金融業界に対して過払い金返還請求がどれくらいの規模でどれだけの期間行われてきたのか?という点を詳しく調べてみました。今回はその結果縮小を余儀なくされてしまった消費者金融業界全体について、どれくらいの規模でどのようにして縮小したかをまとめたいと思います。前回記事:消費者金融業界が、...

» 続きを読む