銀行カードローンの貸付高が急増中!金融庁が問題視するポイントとは?

 

目次

  1. 多重債務者が増加傾向にある!?消費者ローン問題再燃か?
  2. 銀行カードローンに金融庁の手が入った!?問題視されたポイントはどこにあったのか?
  3. 多重債務者が銀行カードローンへ移行した背景には何があったのか?
  4. まとめ〜銀行カードローンの気になる今後の展開は?〜

1. 多重債務者が増加傾向にある!?消費者ローン問題再燃か?

「多重債務者」と聞くと、未だに消費者金融などの貸金業者、ひいては、ヤミ金と言った言葉を連想される方も多いのではないでしょうか。
また、「消費者ローン」という言葉からは、消費者金融が取り扱うローンのみをそのように呼ぶと思い違いをされている方も多いようです。

 

「消費者ローン」とは、事業者以外の個人(消費者)に主に無担保、そして無保証人で行う貸し付けのことで、その多くが小口融資で、個人の信用情報に基づいて融資判断がなされるという特徴があります。
このように「消費者ローン」という言葉について見ると、その商品の特徴は、消費者金融のものばかりではなく、個人を対象とした銀行カードローンにも当てはまることが分かります。

 

では、なぜ「消費者ローン」という言葉が、消費者金融が専売するもののように思われてきたのでしょうか。
その理由には、これまでの銀行が行ってきた事業内容や形態、そして銀行自体の体質や消費者金融の事業への取り組みの姿勢と社会的にも問題視されたさまざまな背景が深くかかわっているのです。

 

個人への小口貸付に関して言えば、貸し付けを専業とする消費者金融が台頭する分野であったことや多重債務問題、過激な取り立てやヤミ金等の実態など社会的にも大きく取り上げられたことも相まって、「消費者ローン=消費者金融」というイメージが定着化したともいえるでしょう。
一方、信用や信頼、格式を重んじるという風潮が残る銀行の貸し付けの歴史について見てみると、土地や建物などの担保と融資を受ける者を保障する保証人が必要であった時代が長く、また、融資対象も大口の企業や事業主といった傾向にあったため、「無担保、無保証人、小口融資」の「消費者ローン」とは、イメージがかけ離れすぎていたということも理由の一つとして挙げられるでしょう。
銀行カードローンの広告が広く世間に出回るようになった現在でも、銀行からの借入は、担保や保証人が必要だと思われている方がいるほどそのイメージは深く根付いているのです。

 

しかし、ここ数年で、「消費者ローン=消費者金融」の専売特許といったこれまで固定化されたイメージを一掃するような事象が、カードローンをめぐる消費者金融市場に起こり始めているのです。
特に、2010年に改正貸金業法が完全施行されてからの動きは大きく、この施行から僅か数年で、消費者金融と銀行の立ち位置が一転したのです。
具体的には、上記数年の間に、銀行の融資残高(貸出金)が、1.5倍以上に跳ね上がり、それまで貸し付け分野で三面六臂の活躍を見せてきた消費者金融を抜き、規制強化で厳しい状況が続く消費者金融業界を尻目に、前へ躍り出たのです。
総量規制の導入以降、年々、貸出金が縮小してきた消費者金融に対して、銀行は、大きく小口融資のカードローン市場に乗り出し、規制強化から僅か5年の2015年には、とうとう消費者金融の融資残高を上回る数字を打ち出したのです。

 

消費者金融が、過払い金の処理に追われる中で、銀行は右肩上がりの好成績を残しているわけですが、このような一連の動きの中で、先行きを懸念した金融庁から注視を浴びることになったのが、銀行カードローンの貸し付けについてです。
総量規制のかからない銀行が順調にカードローンの売り上げを伸ばす一方で、利用する側の多重債務問題や借金苦による社会問題に改正貸金業法導入以前から注力してきた金融庁が、消費者ローン問題の再燃を危惧し、銀行による融資残高逆転劇の翌2016年末に銀行カードローンをめぐる取り組みについて調査に乗り出したのです。

 

バブル経済崩壊以降、不良債権を抱え苦境の時代が続いてきた銀行は、景気縮小やリーマン・ショック、金融ビッグバンなど日本国外の金融市場の荒波の中で、長年培ってきた銀行自体の体制や事業の形態までをも変革しなければならない時代が続いてきたのです。
さらに、近年のマイナス金利政策導入によって、銀行は、収益向上と存続をかけてビジネスモデルや体質を根底から改善しなければならない苦闘の経営を強いられてきました。
このような金融市場の動きを背景に、多くの銀行が収益悪化に歯止めをかけるべく注力事業の一つとして取り組んできたのが、個人への無担保融資でした。
貸し付けの規制強化によって、顧客が銀行へと流出し、経営不振に陥った消費者金融にとっての災いが、銀行にとっての福となり、銀行カードローンは調子のよい滑り出しを見せ始めたところでした。
やっと見つけた収益獲得の突破口へ、金融庁の手が入るとあって、銀行にとっては激震が走る事態であったことは間違いありません。

2.銀行カードローンに金融庁の手が入った!?問題視されたポイントはどこにあったのか?

では、金融庁の懸念の背景には、どのようなストーリーがあったのでしょうか。
ここでは、銀行カードローンが問題視されるポイントを明らかにした上で、金融庁や関係各所の消費者カードローンに対するこれまでの取り組みを見ていきたいと思います。

 

銀行カードローンのあり方を警戒する各界からの声は、数年前から徐々に聞こえるようになっていました。
2015年には日本司法書士連合会が、総量規制対象外である銀行の貸し付けや貸金業者による保証などを問題に上げ、シンポジウムを開催しています。
さらに、翌年10月には、日本弁護士連合会が、銀行による過剰貸付の防止を求める意見書を内閣、金融庁、全国銀行協会会長などへ提出、銀行による適正なカードローンの運営と融資審査の見直しを訴えました。
また、この間、2007年から続く、多重債務者対策有識者会議では、最近の銀行カードローン審査に対する懸念と多重債務者の増加を危惧した発言が見られるなど、各界から銀行が行っている個人への無担保融資を問題視する声が上がってきたのです。

 

このような動きの中で、金融庁が実際に実態調査に乗り出したわけですが、では、金融庁が、今回、問題視したのは、銀行カードローンのどのようなポイントだったのでしょうか。

 

今回の実態調査について、金融庁は、細かな調査項目までは公表をしていません。
しかし、その最大のポイントは、銀行業務の適切な遂行と利益を重視した過剰融資の実態や有無と多重差有無者の状況を調査するという点にあるとみていいでしょう。
そして、狭義にその問題の切り口を挙げるとするならば、1.「過剰貸し付けの実態はないか」2.「融資審査は安全かつ公平性に則って行われているか」3.「借り入れを促すような誇大広告はないか」という点について調査が行われると予測されます。

 

それでは、1‐3のそれぞれについて具体的にどのような問題があるのかを見ていきましょう。

@「過剰貸し付けの実態はないか」

金融機関による過剰な貸し付けは、多重債務者や自己破産者の増加、さらには、自殺者の増加など後に社会問題に発展してしまうような危険を孕んだ重要なポイントです。
しかも、短期間に急激に貸し付け高を上げている銀行カードローンですので、利益向上の裏に消費者側の問題は発生していないかを確認することは、仮に事実確認が取れないとしても、問題を未然に防ぐという意味では、早急に対応すべき課題と言えるでしょう。

 

これまでにも、金融庁は、消費者金融の消費者の返済能力を超える過剰な貸し付けやその実態調査や把握に努め、2005年には「貸金業制度等に関する懇談会」を、また、2006年には、内閣に多重債務者対策有識者会議を発足させ、多重債務者の対策と防止に取り組んできました。
さらに、多重債務者の発生予防の取り組みとして、金融機関等への調査はもちろんのこと、地方自治体や民間団体、庁内関係部局、さらに、警察、弁護士会、司法書士会などと連携し、相談支援事業やそれら相談者状況の把握など、多重債務者の発見を進めるため、対策を行ってきたのです。
また、啓発ポスターによる警告、さらには、金融経済教育研究会を発足させ、講師派遣や教育機関へのテキストやDVDの配布を行うなど、教育による消費者ローン利用上の注意喚起と言った点から消費者を保護し、多重債務者抑制に努めてきました。

 

これら一連の活動の背景には、過剰な貸し付けによる多重債務や過酷な取り立て、また、それらによる生活苦からの自殺、破産者の増加と言った2010年の改正貸金業法完全施行前の社会問題がありました。
具体的に、改正貸金業法施行前の2007年の統計を見てみると5件以上の借入がある多重債務者数は2300万人、生活苦による自殺者は7800人、さらに、自己破産者は、18万4000人と多くの消費者が、借金に苦しめられていたという実態があったのです。

 

このような状況を契機として、消費者金融の貸し付けは、厳しく規制されることになり、多重債務者の増加防止のために、金融庁はもちろんのこと、関係省庁、地方自治体やその他、各界、多重債務に関わるデータを持つ機関から統計を集め、実態把握と統計による改善案の話し合い、そして、各所への指導が行われたのです。

 

さらに、消費者の世帯収入や利用目的など多重債務者側の視点に立ったデータ収集、融資残高や利用者推移など消費者金融に関するデータ、また、自殺者数や借金問題に関する相談者数、その他、消費者金融と消費者との金融取引の中で社会的に問題視されるようなデータなど、多重債務に関するさまざまな方向、分野での調査と細かな視点からの統計がなされてきたのです。
多重債務者実態把握のために行われた、多重債務者数の統計や一人当たりの借入件数に関する調査も上記の観点から取られた統計で、現在でも、その統計は見ることができます。

 

上記のように、自殺率など早急に対策が必要な多重債務者をめぐる社会問題の実態を把握し解決するため金融庁は、消費者金融を利用する消費者と多重債務者についてのあらゆる問題の把握に努めたのです。

 

しかし、今回の銀行カードローンをめぐる一連の動きの中で、お気づきの方もいらっしゃると思いますが、銀行に関するデータについて、融資残高など経営上の基本的なデータは公開されているものの、消費者金融のようにあらゆる視点から分析された詳細なデータが、取られていないというのが現状なのです。

 

上記に示したような、銀行カードローン利用者に限定した多重債務者数の統計や一人当たりの借入件数、また、それを理由にした自殺等があるのかという点も既存データのみからでは、解析できないというのが実際のところです。

 

では、なぜ、銀行については、多重債務者に関するデータがないのでしょうか。
その理由は、上記にもあげたように、銀行の融資部門は、これまで大口の企業への融資が中心で、小口の個人への融資については、積極的に取り組んでこなかったため、個人の無担保融資が原因の多重債務者対策の対象から外れていたということが原因でしょう。

 

しかし、これは、改正貸金業法施行前の過去の話です。
改正貸金業法施行後は、銀行も個人向けの小口融資に積極的に乗り出し、この数年間で消費者金融の数字を抜き、急速にカードローンの業績を上げています。
ですから、今回行われる金融庁の実態調査で銀行は、以前、消費者金融がやり玉に挙がった時のように、細かなデータ提供を求められることになるでしょうし、銀行側に過剰貸し付けの実態はないか、多重債務者の実態把握のためにあらゆる面から検査されることになるでしょう。

 

A「融資審査は安全かつ公平性に則って行われているか」

銀行カードローンの審査について詳しく見ていくと、大多数の銀行の商品説明に「保証会社である〇〇の保証を受けられるお客様」という記載があることに気付かれるでしょう。

 

保障会社とは、万が一、借入者が返済できないという時に債権を引き継ぎ、代わりに弁済を行う会社のことです。
無担保で保証人なしの個人向け銀行カードローンの中で、保証会社は、借入者にとっての「連帯保証人」と言った立ち位置になるでしょう。

 

もし、借入者が返済不可能となった場合には、保証会社が保証するわけですから、損をすることがないように、融資の審査にも保証会社は介入してくることになります。
ですから、カードローンの商品説明にある「保証会社である〇〇の保証を受けられるお客様」という記載は、「保証会社の審査を通過することができるお客様」と同義なのです。

 

銀行が利用している保証会社は、銀行関連の子会社、または、消費者金融が大多数です。
消費者金融を避けて、銀行カードローンに申し込みをしたにもかかわらず、保証会社に消費者金融の名前があり、戸惑ったという経験がある方もいるでしょう。

 

保障会社を利用することによって銀行には、融資審査の際に全ての金融機関が与信調査に利用するという個人信用情報に加え、保証会社独自の金融取引情報からも融資審査をしてもらうことができるというメリットがあります。
また、バブル経済崩壊時に多額の負債を抱えた経験から、個人融資でも負債を抱えるようなことはしたくないというのも銀行側の本音でしょう。
それは、マイナス金利政策導入で、苦しい状況にある銀行であれば尚更です。

 

このように、審査や保証と言った点を中心に保証会社と連携を取りながら、商品提供が行われている銀行カードローンですが、この「連携」の中に、消費者にとっては心配なことがあるのではないでしょうか?
もし仮に、銀行カードローンの返済ができなくなってしまったという場合には、債務者は保証会社から、どのような対応がなされるのかということです。

 

先にもあげた通り、保証会社は、債務者の「連帯保証人」のようなものです。
しかし、返済ができなくなった場合、保証会社は、銀行へ代理弁済をしてくれる代わりに、債務者は、保証会社が肩代わりした借金を保障会社に返済していかなければならないのです。
そして、そのような経緯から、銀行から借りたつもりだったカードローンは、結果的に消費者金融からの借金ということになってしまうのです。

 

そのようなことはないと願いたいですが、もし仮に銀行が、カードローン申込者の審査を直接行わず、保証会社にその一切を任せ、保証会社が銀行のためにではなく、自社の利益のために動いていたとしたら、どうでしょう?
また、低金利が魅力の銀行カードローンが、総量規制対象外なのを良いことに、利用限度額を上げ、さらに、利用者側もせっかくだからと返済能力以上の金額を借りることが可能になってしまった場合、結局、苦しむのは利用者とは言えないでしょうか?

 

経済活動という人々の日々の生活を支え、暮らしの重要な部分に責務を負い、人々の信頼によって業務を遂行してきた銀行が、利用者側の将来性を理解せず、自行の利益のみを追求するということは考えにくいことではありますが、仮に、借入者に年収の3分の1を超える額、あるいは返済が不可能だろうと思われる金額を銀行が融資し、債務者が返済できなかった時、借入者は、総量規制のかかる消費者金融に、総量規制を超える額の借金を高い金利を上乗せして返済するということにはならないでしょうか?

 

このように、「融資審査は安全かつ公平性に則って行われているか」という点について見ていくと、銀行カードローン審査には、消費者金融等の保証会社が介入していることによって、消費者にとっては、上記のような不安や疑問点が、いくつも出てきてしまうのです。
そのような実態がないのであれば、銀行側は、引き続き消費者との良好な関係を保ち、さらなる信頼を得ることができるわけですから、消費者が安心して、利用できる銀行を続けるためにも、金融庁調査による調査は、大変意義のあることだと言えるでしょう。

 

B「借り入れを促すような誇大広告はないか」

カードローンの広告やCMと聞くと、思い出すのは、消費者金融のCMでしょうか?それとも、銀行カードローンのCMでしょうか。
カードローンのCMを始めたのは、消費者金融が先で、その歴史も長く1970年代から放送されていました。

 

カードローンCM に消費者金融が早い段階から参入していた理由は、先にも挙げたように個人融資に銀行カードローンが着手した時期が消費者金融に比べて遅かったからですが、
最近では、消費者金融のCMよりも銀行カードローンCMの方が多いと感じる方は、少なくないはずです。
また、さらに近年では、インターネットの普及に伴い、Web CMやネット広告など、その形態はさらに広がりを見せています。

 

カードローンCM、特に、消費者金融のCM というと、借金というイメージとは裏腹に、キャッチィーで、そこに流れるメロディーは、その多くが子供たちもが日常的に口ずさむ、ノリの良いものでした。
そして、CMでは、多重債務と言った闇の部分は排除され、それらとは全く無関係であるもののような華々しさと明るさがあったと記憶されている方も多いはずです。

 

さらに、これらのCMは、1990年代になると、それまでの深夜に限った放送から、幅広い年齢層でも見ることができる時間帯へと放送時間も変化していきました。
そして、放送時間帯の変化から、多くの人々に消費者金融が知られるようになり、広く社会に浸透していったのです。
そのような経緯から、消費者金融の知名度は、増々上がっていきました。

 

一方で、1990年代の自己破産者数や経済的な問題から命を絶った人々の数を見ていくと、消費者金融のテレビCMの盛り上がりに比例して、それらの数も増えていくという現状があったのです。
例えば、1995年に43414件であった自己破産申立件数は、2003年には5倍以上に増えています。
これは、放送時間帯への規制が入る前、CMに借金への警告文が盛り込まれるようになる前年までの統計です。
また、同時期の経済的な問題や生活苦を理由にした自殺者の推移は、2793人から8897人とわずか8年で大きく増えたのです。
この時期は、CMがゴールデンタイムに放映されるようになり、多くの年齢層によって視聴されることとなった時期とほぼ一致しています。

 

さらに、消費者金融連絡会から報告のあった2002年における消費者金融利用者の年代別比率で、20代の新規顧客が45.6%を占めたという数字によって、借金問題の低年齢化が問題視され、消費者金融広告の見直しと改善は早急に取り組まなければならない課題として対策も強化されていったのです。

 

上記のように、無法状態が長く続くわけもなく、2000年以降、消費者金融の広告について各機関から懸念の声が上がり、消費者金融を問題にあげた発言や意見書が各所から金融庁に届くようになりました。

 

例えば、日本弁護士連合会は、「借金に対する抵抗感を失わせる」「若者の安易な借入れをあおる」と消費者金融の広告(特にテレビCM)について、警告を繰り返してきました。
また、「放送と青少年に関する委員会」は、消費者金融のCMは、日本民間放送連盟の放送基準に触れる可能性が高いと指摘した上で、青少年が目にする可能性が高い時間帯の放送自粛や安易に手を出すことができるようなイメージを内容に盛り込まないなど、借金に関するCM規制について訴えてきました。

 

このような経緯から、日本民間放送連盟の消費者金融CMに関する放送基準は2005年に改正され、児童や青少年への配慮、借金を啓発する文言を入れ、助長する表現を避けること、消費者が誤解を招かないようきちんと貸付条件を明示することなどが盛り込まれました。
2006年には、放送は22時から深夜24時までとした放送時間の規制や借金に対する警告文が入っていなければ、放送中止など消費者金融のCMには、次第に規制がかかるようになっていったのです。

 

では、一方の銀行カードローンCMは、どうでしょう。
銀行カードローンが、CMに登場した時には、硬質な体質を持つ銀行が、カードローンCM?と驚かれた方もいたでしょう。
CM本数が年々減少していった消費者金融とは逆に、最近では、銀行カードローンのCM が目立つようになってきました。
特に大手都市銀行は、有名なタレントを起用し、極めてクリーンで、親しみやすく、かつ明るいイメージでCMがつくられています。
以前の消費者金融のように、派手で、楽し気な雰囲気は抑えられているものの、そのイメージは、カードローンに好感を持つことができるよう作られていると感じる方は少なくないのではないでしょうか。

 

ただし、上記に記した2005年の放送基準は、改正によって、消費者金融ばかりでなく銀行も対象となっているのです。
しかし、これらを踏まえた上で、銀行によるカードローンのCMが、 あまりに個人融資を助長するようなイメージが過ぎると今回の調査で金融庁が判断すれば、銀行のCMにも指導や新たな規制が入る可能性はあるでしょう。

 

さらに、広告は、CMばかりではありません。
貸金業協会広告指導委員会では、消費者金融による新聞や雑誌、その他、紙媒体の広告掲載を中心に事前審査を実施し、不適切な広告が無いよう規制が行われています。
また、これらに違反した場合、行政処分として1年以内の業務停止、刑事違反としては、誇大広告が、1年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金(併科もあり)、貸付条件について違反があった場合は、100万円以下の罰金が科せられることになっているのです。

 

これから注意して見ていただきたいのは、特にネット上の広告です。
「無審査!スピード融資!」「多重債務1本化!」「業界No.1の○○!」「面倒なお手続きは一切不要!」といった宣伝文句を見かけたことはないでしょうか?
誇大表現、過剰な勧誘、そして、消費者の借入意欲を駆り立てるような誘導表現はすべて、上記のような違反処分の対象です。
そして、上記に例として挙げた宣伝文句も全て罰則対象のものです。
広告に罰則規定があるのは、消費者金融ばかりではありません。
銀行においても、銀行法の広告表示に違反する可能性があるとして、公正取引委員会や金融庁から警告を受けているという実態がありますが、今後、金融庁の調査によって、規制が強化されることになれば、銀行ばかりでなく、仮に個人であっても、宣伝活動を行っているようなWebサイトの場合にも、そのような細かな点について気をつける必要性が高くなるだろうと予測されます。

 

上記のように、金融庁による銀行カードローンの実態調査のポイントは、適切な運営がなされているかについてはもちろんのこと、利益を重視した過剰融資の実態はないか、過剰融資による多重債務者の増加を懸念して行われているものと見てよいでしょう。

 

金融庁は、金融に関わるあらゆる事柄や貯金・投資者の保護、日本における金融機関の健全な運営と安定維持に責務を負っています。
金融全般における社会問題への注意喚起、金融市場が遵守すべき法の整備、金融機関や株式市場、ひいては、公認会計士の監査など、指導や検査を行いながら、日本における国民経済の安定と安全に寄与しているのです。
このように金融庁の検査は全て、国民の安全を主眼に、日本における金融市場対策の円滑で効果的な推進を図るために行われているものなのです。
ですから、今回の銀行カードローンの実態調査は、銀行内部への事前警告や監査はもとより、社会問題に発展するような事態を未然に防ぎ、消費者の金融取引における安全性に力点を置いた調査とも言えるでしょう。

3.多重債務者が銀行カードローンへ移行した背景には何があったのか?

上記のように、今回の金融庁の実態調査は、この数年で、急速に業績を上げてきた銀行カードローンのさまざまな点を確認し、消費者が安心して利用できる金融体制を確保するためのものです。
しかし、金融庁が実態調査に踏み切る段階において、かつて社会問題にまで発展した消費者金融の一連の騒動と消費者ローン問題再燃かという思いが去来したことは間違いありません。

 

また、その中には、消費者の安全ばかりでなく、金融庁が責務を負う日本の金融市場の安定維持への懸念も含まれていたはずです。
消費者金融への規制は、景気を上げてきた消費者金融市場のみへの打撃だけで終わらなかったということは、データを調べるまでもないでしょう。

 

社会の中で大きな金額を動かし、その良し悪しに関係なく、ある一定の影響力を握る機関の突然の消滅が、社会や経済にとって、どれだけの影響があり、損失になるのかについて、わかりやすい例を挙げるとすれば、それは、1997年に起こった大型金融機関の相次ぐ倒産でしょう。
このことによって、翌年の失業者数と自殺者数は大幅に増加、民間消費やGDPも減少傾向となり、民間投資は一気にマイナスにまでに落ち込みました。
このように、消費者金融の場合は規制によるものでしたが、利益を得てきた大きなマーケットが、崩壊、または、圧力によって一気に利益が下降に転じると、日本全体の経済に大きく影響が及ぶ可能性があるのです。
ですから、金融庁の実態調査はもとより、その後の指導内容にもさまざまな視点からの知識と詳細な分析が必要になることは間違いないでしょう。

 

さて、今回の実態調査は、金融業界の中でも「銀行」が名指しされているわけですが、では、そもそもなぜ、消費者ローンの問題が消費者金融から銀行にシフトしていったのでしょうか。

 

その大きな原因は、消費者金融市場の縮小にあります
かつての消費者金融は、ピーク時の1986年には47504社、大手消費者金融は経団連に加盟するまでになり、派手なCMや広告は、その羽振りの良さを象徴するようなものでした。
それが、多重債務者抑制のための規制強化から数年後の2015年になると消費者金融は、勢いをなくし、その数は2011社、企業数も融資残高も桁違いの減少となりました。
さらに、CM の数も減り、それに代わって銀行カードローンのCMが目立つようになってきたのです。

 

では、消費者金融が縮小していく原因となったものは何だったのでしょうか。

 

その主因は、消費者金融から高金利で借金をした債務者が、借金返済のために借入を繰り返し、多重債務者が激増したこと。
さらに、その多重債務者の問題が社会問題となり、状況が深刻化していったことにあります。

 

そして、それら多重債務者問題解決の方法によって、消費者金融は真っ向から打撃を受けることになったのです。
消費者金融が縮小していく原因は、大きく2つ。
多重債務者問題を打開するために改正された「改正貸金業法」とその導入による「過払い金請求」だったと言えるでしょう。

 

まず、改正貸金業法は、2006年に公布され、2010年に完全施行されました。
そして、この改正貸金業法完全施行後、急激にその市場規模が縮小していったのです。
そこには、多重債務者を増やす要因となる過剰貸付防止のための総量規制の導入と総返済額を返済不可能なものにする上限金利への規制が入っていました。

 

では、それらの規制が、具体的には消費者金融の縮小にどのように直接影響していったのでしょうか。
総量規制とは、年収の3分の1を超える貸し付けを禁止したものです。
この総量規制によって、消費者金融は、収入のない一部の顧客層、専業主婦や学生への貸し付けができなくなり、また、出資法の上限金利は29.2%から20%へと引き下げられ、利息制限法によって、元本の金額によって区分された金利15%-20%での貸し付けをすることになったのです。
また、これを守らず貸し付けを行った場合、5年以下の懲役、または1000万円以下の罰金が科されるようになり、消費者金融は、収入のない層への貸し付けはもちろんのこと、改正貸金業法完全施行前に、リスクを取って高い金利で貸し出しを行っていた低所得者層からの高い利息利益も一気に無くすことになったのです。

 

そして、さらに消費者金融を倒産の危機に追い込んだのが、過払い金による利息返還請求でした。
利息返還請求が、どの程度、消費者金融を苦しめることになるのかを例を挙げてみていきます。
例えば、債務者全員が、年間収益1000億円のA社から100万円ずつ借りていたと仮定します。
利息制限法では、100万円以上で利息の上限は15%、一方、改正前の出資法では、上限利率は29.2%ですので、上限の差(グレーゾーン金利)は、最大で14.2%です。

 

では、A社はいくらの利息返還請求を受けることになるでしょうか。
1000億円×14.2%=142億円です。
貸し付けをした相手に、A社は、142億円もの莫大な金額を支払わなければならないのです。
上記は、単純計算ですので、消費者金融全体が抱える請求額がいくらになるかはわかりませんが、総量規制のかかる「改正貸金業法」を遵守しつつ、14.2%もの請求を受けたのでは、とても利益が追い付かないというのが本音でしょう。

 

このように、消費者金融が縮小していく一方で、改正貸金業法の導入直後の2011年から消費者カードローン部門に勢いをつけていったのが銀行でした。
また、さらに、消費者金融から銀行へ顧客が流れた背景には、貸金業法の下で事業を行う消費者金融と銀行法を遵守する銀行との間に、銀行に有利に働くものがあったのです。
それは、銀行が、総量規制対象外であるため貸し出しの制限がないことでした。
これによって、消費者金融では借り入れが難しい顧客層が銀行に流れ、また、銀行という信頼性や低金利という条件から一気に顧客を増やしていったのです。

 

まとめ〜銀行カードローンの気になる今後の展開は?〜

銀行カードローンは、あまりに短期間に増勢を加速させたということも加担して、多重債務者の実態はないのかということに各界から懸念を示されるようになっていきました。
しかし、金融市場をめぐる一連の流れの中で、浮上した問題や上記のようなカードローンの疑問に対する答えやさまざまな懸念点を今回の金融庁の調査によってクリアにすることができれば、今後、大きく情勢が変わるということはないと思われますが、調査事前に銀行が多重債務者対策として先手を取った動きをみせないとは言いきれないでしょう。

 

また、一方で、上記にも示したように消費者金融の貸し付け残高が伸び、CM等で勢いを見せ始めた頃の状況と、今回の銀行の急激なカードローン分野の成長の傾向が相似しているとするならば、銀行への実態調査に問題が無かったとしても、各分野からの声を反映し、また、今後を警戒して、金融庁が何らかの動きを見せる確率が高いということは否定できません。

 

そうなった場合、今後、銀行カードローンにどのような規制がかかると考えられるでしょう。
今回の問題の中心は「多重債務者」にあるわけですから、多重債務者問題が具現化する前に事前防止策が取り込まれる方向で動き出す可能性が高いと思われます。

 

では、その対策はどのようなものが考えられるかということです。
多重債務者とは、何件もの債務を負っている人を指します。
ですから、単純には、借入件数が、多重にならなければ、問題は発生しないということになります。
このようなことから、審査の際の借入件数チェックは、現在よりもさらに厳しくなるということは予測されるでしょう。

 

さらに、今後、貸金業法の総量規制のような定めが、銀行法にも導入されるかは定かではありませんが、所得に対するチェックや収入証明書等の提出が必須となるなど何らかの対策が講じられることは、織り込み済みかもしれません。

 

また、貸し出しの時点で限度額が抑えられる、返済能力のない人やこれまで、利用することができていたという専業主婦や年金収入のみの方などには、有担保ローンのみの貸し付け、あるいは、保証人が必要になるといった新たな規制が加わることで厳しい状況となるかもしれません。

 

銀行が、実態調査の結果を待たずに先回りして、何らかの対策を講じるか、金融庁の事前審査が先か、また、事態が明らかになった上で、対策に乗り出すのか、どのようになるのかは判断が難しいところではありますが、多重債務者の実態の有無に関わらず、双方から動きがあることは確かでしょう。

 

ですから、現在、銀行カードローンを利用しようと考えていらっしゃる方、現時点においても審査通過に自信がないという方は、今年度の金融庁の実態調査発表を待たずに、早めに申し込みを行うか、カードローンを利用せずとも事足りるよう、まずは、家計のチェックからはじめてみるのもいいでしょう。

 

いずれにせよ、多重債務者を抑制し、自ら命を絶つ人を出さないようにするということは、国全体の社会状況においても個人の借金問題から見ても、安心で健全な社会づくりへの扶けとなることは間違いないでしょう。

 

 

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